朱乃紅スキゾ日記

管理人朱乃紅の統合失調症の闘病記、雑記

フラッディング、エクスポージャー、ホラー療法転じて認知行動療法

ルチオ・フルチの『新・デモンズ』を見た。

ミケーレ・ソアヴィ監督の『デモンズ3』が見たくてレンタルを探したのだが、貸出中が続いて、仕方なくルチオ・フルチ作品というものを見ることにした。

ネットで検索するとルチオ・フルチの作品は、『サンゲリア』とかそのへんの作品が名作と言われていて、この『新・デモンズ』は評価の対象にもなっていなかった。

とりあえず見てみたのだが、パッとしないものだった。昔の信仰ものなのは、私の好みだが、怖いというよりもよくわからないところが多かった。若干スプラッターが入っていて、気持ち悪さもあったのだが、ラストが一体どうなったの?という感じだった。

そこが、ルチオ・フルチ監督の醍醐味なのかもしれないが。

でも、基本的に作りは興味深いところもあった。ダリオ・アルジェント監督とも関係があるらしく、アメリカンホラーのような雑さがなくてその点では良かったと思う。

これからも、名作と言われている『サンゲリア』などを借りて見ようかと思うが、私がホラー映画を見るのは、精神療法なのだ。ただ、怖いもの見たさに見ているのではない。ホラー映画を見ると色々な日常の強迫が弱まるのだ。元々ホラー映画自体には、あまり耐性が無い。だからこそ逆療法で色んな作品にチャレンジしている。

見るときは、あまりB級なものではなく、名作と言われているものを選ぶ。ストリーテリングがしっかりしていないとただのびっくりハウスになってしまうから意味が無い。

でも、こうしてホラー映画を立て続けに10作品くらいみていると段々と耐性がついてくる。あまり怖くなくなってくるのだ。それは、恐怖に対する耐性であって役に立つ。

そして、今日は、前述のミケーレ・ソアヴィ監督、ダリオ・アルジェント製作の『デモンズ4』を見た。『デモンズ』シリーズは、前に1と2を見ていて3は、若かりし頃見たこともあって、私は3が特に好みでもう一度3を見たかったのだが、中々人気があるらしく、ゲオで貸出中のままということで4を借りてみた。

そして、今日仕事が終わってから見たのだが、これまたどうして面白い。もともと1と2とは同じくダリオ・アルジェントが製作総指揮なのだが、監督がランベルト・バーヴァという人で3と4とは関係が無い。邦題を付ける過程でそうなったらしいが、とにかく4は面白かった。1,2はスプラッター要素が強く気持ち悪さが強かったが、4は、そういう所ももちろん若干あるが、ストーリーテリングがとても良い。

悪魔崇拝をモチーフにしたホラーは多々あるが、それがとても緻密に作られている。

謎というか構成がしっかりしている。主人公の扱いも悪くない。そしてラストは!……。珍しく後味が悪くなかった。

ところでこうして私は、いつの間にかホラーファン?みたいになってしまったように見えるが、何故、ホラーを見るようになったのかというと、それは、私の中の恐怖に打ち勝つためだった。私は、ホラーはあまり好きではなかった。子供の頃興味本位で見た『悪魔のいけにえ』はトラウマになっている。しかし特定の面白いと言われたホラーは見ることもあった。『28日後』とか『28週後』とかはとても好きだったが、ある時大好きな俳優イーサン・ホークの『パージ』を見たときに全然怖くなかったのに、強迫になってしまったのだ。それから家にある怖いと思われるものを次々に売却する症状になってしまい。どうしたらいいのかわからなくなって、こうなったら思いっきり怖いものを見まくってやろう!と思ったのがきっかけだった。

そのことは、前にこの日記で書いたので割愛するが、とにかく、ホラーを数多く見るうちに自分の中の恐怖が大分薄れてきたのだ。私は、認知行動療法を支持しているが、その中で強迫性障害を治療する時に曝露反応妨害法(エクスポージャー)というものを学んだ。自分が脅威や強迫と感じているものに対して意図的に接近していく治療法だが、それを極端に強めたのがフラッディングという方法だということを最近知った。エクスポージャーは恐怖や脅威を段階的に強化して乗り越えていく方法なのだが、フラッディングは、いきなり最強度の恐怖を体験させる。高所恐怖症の人にいきなりビルの屋上に立たせるというようなものだ。私のホラー映画を見るという行為はこれに近かった。

怖い物をもっているだけで不安になるくらいのビビリの私に一気に強度の恐怖を与え、そこから逃げないことで強迫を克服する。それが、私が生み出したホラー療法という勝手に名前をつけた治療法だ。結構効果があることが分かった。

ということでこれからも時々ホラー映画をみようと思う。『デモンズ3』はどうしても見たいし。